希望しか見えなかった
本当のことを言えば、不安はたくさんあった。
演技の質のこと、ダンスのこと、方言のこと、郡上おどりのこと、作品のこと。
眠れない日が増えたし、胃潰瘍になったし、ブログや宣伝でポジティブな言葉を綴るほどに、予約が増えるほどに気持ちとの乖離は進んでいった。
どれも自分じゃない人の言葉みたいで、本心ではあるのにどこか実感が湧かなくて、息が詰まるような毎日を送っていた。
本番まであと1週間。2日連続で通し稽古(最初から最後まで止めずにお芝居をすること)をしました。
舞台裏での動線だとか着替えだとか、作品全体のつながりだとか、通してみて初めてわかることがたくさんあります。
きっとどなたも、不安に感じるところがたくさんあったことと思います。
それでも私は今日ようやく、大丈夫だと思えました。この作品が正しい方向に向かっていると確信して、ただただ前向きな気持ちで帰路につきました。
稽古終わりに主宰の井草さんが言っていた「俺には希望しか見えなかった」という言葉を、一片の曇りもなく信じています。
シーンが繋がってようやくひとつの作品になって、あとはきちんと丁寧に作り上げるだけ。
だからこそ、妥協出来ないとも思いました。
方言のこと、郡上おどりのこと、少しも手を抜いてはいけない。
今まで手を抜いていたというわけではないけれど、土台となるそれらが崩れてしまったら作品が成り立たないことを改めて突きつけられました。
今回私は最年少で、演劇に関わった年数も短くて本当にぺーぺーなんですが、それでもなんかこう……みなさんが年上だからとかそういう遠慮を抜きにして、作品のためにできることをやっていこう、という気持ちです。
いい座組だよ、みたいなのはダサいな〜と思うんで言わないですけど、ここまで全員が向上心を持って誠実に芝居に取り組んでいる現場は初めてです。誰も作品のことを疑っていないって、簡単なようでなかなか出来ないことだと思います。
だからなんか……偉そうなこととか言ったらごめんなさい。アクセント全然違うとか言われてムカついたら打ち上げでしばいてください。胃潰瘍のくせに生意気だなと思ったら殴ってください。両頬差し出します。でもお腹はやめてね。胃潰瘍だから。
あと1週間。
ダンスと演劇、というよりかは言葉と身体、といった方が正しいような気もします。神経を張り詰めて、繊細に表現しています。
ありふれた話かもしれないけれど、ありふれた作品ではないと本心から言えます。
観てもらえたらいいな。
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